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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科69巻2号

1997年02月発行

トピックス 口腔疾患の診断と治療

4.口腔・咽頭と性感染症

著者: 荒牧元1 余田敬子1

所属機関: 1東京女子医科大学附属第二病院

ページ範囲:P.114 - P.119

文献概要

 はじめに
 1948年,性病予防法が制定された際,性病は性交によって感染する疾患としてわが国では梅毒,淋病,軟性下疳,鼠径リンパ肉芽腫(第四性病)の4種を指すものであった。しかしこれらに該当しない,性行為で感染する疾患が増加したため,1975年WHOの提唱により,従来の性病も含め20種以上の病原微生物による性行為で感染する疾患を性行為感染症(sexually transmitted dis-eases:STD)と呼ぶようになり,さらに1988年日本性感染症学会発足に際しSTDを性感染症と称するようになった。わが国においては第二次世界大戦後,梅毒や淋病などの性病の蔓延をきたしたが,ペニシリンなどの抗生物質の発達や公衆衛生,予防医学の普及により一時鎮静化した。しかし近年,性の開放,性行為の多様化,ピルの使用,性風俗産業の台頭により1980年頃よりSTDが再び増加してきた。特にフェラチオなどにみられる性行為の多様化は口腔・咽頭に種々のSTDの発症をもたらし,さらに口腔・咽頭が淋病やクラミジアの感染源になりうると報告されている10)。そのため耳鼻咽喉科医はSTDを考慮しながら日常診療を行わなければならない状況となった。現在最も注目されているAIDSにおいて,口腔のカンジダ症や毛様白板症などは口腔や咽頭に早期に生じやすく,そのためこれらの症状所見がAIDSの発見の手がかりとなる。主な口腔・咽頭のSTDについて述べる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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