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雑誌目次

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科69巻3号

1997年03月発行

雑誌目次

目でみる耳鼻咽喉科

Dufourmentel皮弁について

著者: 西平茂樹

ページ範囲:P.198 - P.199

 顔面皮膚の母斑や小腫瘤切除後に局所皮弁を用いる機会は多い。耳前部に発生した直径約2cmのケラトアカントーマ切除後にDufourmentel皮弁1)を用いて良好な結果を得た。症例と術前検討時の工夫を報告する。

原著

下咽頭梨状窩瘻の治療経験

著者: 志津木健 ,   加納滋

ページ範囲:P.201 - P.205

 はじめに
 下咽頭梨状窩瘻(piriform sinus fistula)は,若年より反復する前頸部感染歴を特徴とする稀な疾患である。治療には瘻管の完全摘出が必要とされており,不完全な場合には術後も頸部感染症を反復することになり治療に難渋する。今回われわれは最近経験した梨状窩瘻4例を報告するとともに,主に治療に関し若干の考察を加える。

カフスボタン状気管孔カニューレ使用中の突発事故について

著者: 緒方洋一 ,   坂本成子 ,   今手祐二 ,   高橋正紘

ページ範囲:P.207 - P.210

 はじめに
 カフスボタン状気管カニューレ(レティナ®:以下,レティナ)は気管カニューレの長期装着による諸問題を補い,患者負担を軽減する目的で1980年に開発された1)。それ以来多くの領域で利用されているが,レティナ装着に伴う重篤な合併症や事故は報告されていない。今回われわれはレティナを装着した2症例で,スピーチバルブ着脱の際誤ってレティナ本体を抜去し呼吸困難に陥るという突発事故に遭遇した。症例を呈示するとともに,原因とその対策について考察を加えて報告する。

正常および喉頭疾患における三次元CT内視法の応用

著者: 讃岐徹治 ,   兵頭政光 ,   湯本英二 ,   安原美文 ,   越智誉司

ページ範囲:P.211 - P.216

 はじめに
 1989年にらせん走査型CTスキャン法が開発され,連続性の保持されたデータが短時間に得られるようになった。その連続性を活用した三次元立体(以下3D)表示がらせん走査型スキャン可能なCT機種とともに急速に普及してきた。従来,耳鼻咽喉科領域では,この3D表示は骨の立体表示に応用され,特に耳小骨奇形や顔面外傷例の骨折部位診断に有用なことが報告されてきた1)。しかし喉頭への本法の実用的な応用の報告は現在まで見られない。
 今回著者らは,空気と喉頭軟部組織の境界面を描出することで喉頭内腔面を立体表示する方法(以下CT内視法と記す)を正常ボランティアと反回神経麻痺,喉頭癌患者などについて試みたので撮像法の概略と喉頭疾患における本法の応用の可能性について報告する。

外傷を契機として発症し急性経過をとった上顎洞血瘤腫の1例

著者: 伊藤麻子 ,   内木幹人 ,   小野真顕 ,   中島務 ,   柳田則之 ,   石口恒男 ,   棚橋淳

ページ範囲:P.217 - P.221

 はじめに
 上顎洞血瘤腫は比較的稀な疾患であるが,症状,画像診断では悪性腫瘍との鑑別が困難なこともあり,日常臨床を行ううえで念頭におくべき疾患といえる。今回われわれは外傷を契機として発症し,急性経過をとった上顎洞血瘤腫の1症例を経験したので,文献的考察を含め術前診断のあり方についても検討した。

蝶形骨洞アスペルギルス症の治療経験

著者: 小林伸宏 ,   佐内明子 ,   遊座潤 ,   日野剛 ,   永田博史 ,   沼田勉 ,   今野昭義

ページ範囲:P.222 - P.226

 はじめに
 蝶形骨洞アスペルギルス症は比較的稀な疾患であるが,免疫不全の有無を問わず重大な転帰をとることがある。最近われわれは蝶形骨洞アスペルギルス症の2症例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。

悪性腫瘍が疑われた副鼻腔の炎症性偽腫瘍の1例

著者: 糸数哲郎 ,   古謝静男 ,   幸地綾子 ,   野田寛

ページ範囲:P.228 - P.231

 はじめに
 炎症性偽腫瘍(Inflammatory Pseudotumor)とは,真性腫瘍と類似の腫瘍性病変をきたす疾患のうち,結核,梅毒などの特異性炎症が全身疾患の局所症状として発症した場合を除外した臨床的診断名である。頭頸部領域の発生は比較的まれで,副鼻腔に生じた報告1,2)があり,その臨床症状などは悪性腫瘍と類似することが多いといわれている。今回われわれは,上顎洞,蝶形洞に発生し,その臨床症状や画像診断から,悪性腫瘍が疑われた炎症性偽腫瘍の1例を経験したので報告する。

側頭骨原発悪性リンパ腫の1症例

著者: 三枝英人 ,   秋元利香 ,   劉愛民 ,   神尾友信 ,   渡邊健一 ,   富山俊一 ,   相原薫 ,   八木聰明

ページ範囲:P.233 - P.238

 はじめに
 頭頸部領域に悪性リンパ腫が原発することは多いが,側頭骨に原発することは稀である。われわれが渉猟し得た国内外の1976年以降の報告数は,10例1〜8)であった。今回われわれは,側頭骨原発と考えられる悪性リンパ腫の1症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する。

耳下腺Polymorphous Low Grade Adenocarcinomaの1例

著者: 望月隆一 ,   牟田弘 ,   小野淳二 ,   倉田明彦

ページ範囲:P.240 - P.244

 はじめに
 Polymorphous low grade adenocarcinoma (以下,PLGAと略す)は,1980年代頃より盛んに臨床病理学的検討がなされており,1991年のWHOの新分類1)に初めて記載された唾液腺腫瘍である。本腫瘍は,臨床的には遠隔転移がみられないなど予後が良好な点,病理組織学的にはその多彩な細胞配列と,均質で異型性に乏しい細胞構成という点が特徴的であり,もっぱら小唾液腺に発生するとされている。われわれが渉猟し得た限りでは,耳下腺に発生したPLGAは,これまでに4例しか報告がなく2〜5),本邦ではWHOの新分類以降報告例がない。
 今回われわれは,PLGAに特徴的な病理組織像を示した耳下腺腫瘍の1例を経験したので,その臨床像ならびに病理組織像,および唾液腺腺癌について,文献的考察を加えて報告する。

副鼻腔に単独転移をきたした腎細胞癌の1例

著者: 秋月浩光 ,   安積靖敏 ,   小野多知夫

ページ範囲:P.245 - P.249

 はじめに
 鼻・副鼻腔に他臓器からの転移性腫瘍が発生することは稀である。今回われわれは,腎細胞癌手術後に10か月を経過し,大量鼻出血を呈し発見された篩骨への単独転移症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。

喉頭原発のSarcomatoid Carcinomaの2症例

著者: 石井祐司 ,   牧嶋和見 ,   杉本卓矢 ,   樋口哲 ,   金崎幹人 ,   橋本洋 ,   笹栗靖之

ページ範囲:P.250 - P.255

 はじめに
 喉頭に発生する悪性腫瘍の大半は,扁平上皮癌であり,本邦の最近の報告によると,その98%を占めているとされる1)。しかし,扁平上皮癌の亜型として分類されているsarcomatoid carcinomaが喉頭に発生する頻度は低く,喉頭悪性腫瘍のうち1%に満たない2)。本邦における本疾患の報告例では,一般に喉頭の扁平上皮癌に準じた治療が行われており3,4),とくに化学療法における薬剤選択などの工夫に乏しい。
 CYVADIC療法は,1975年にSouthwest On-cology GroupのGottliebら5)により考案された,cyclophosphamide (CPM),vincristine (VCR),adriamycin (ADM),dacarbazine imidazole carboximide (DTIC)の4剤を用いる併用化学療法であり,悪性軟部腫瘍に対するレジメとして広く用いられている。われわれは喉頭のsar-comatoid carcinomaの2症例を経験し,化学療法としてCYVADIC療法を施行したので,その効果につき若干の文献的考察を加えて報告する。

鏡下咡語

Noblesse oblige

著者: 舩坂宗太郎

ページ範囲:P.258 - P.259

 Noblesse oblige—この言葉は御存知と思うが,念のため書き添えておくと“(身分の)高い人は責任感を!”ということである。もともとはフランス語だが,主にイギリスで脈々と生き継がれてきた感がある。
 もちろんこれは欧米の専賣特許でなく,東洋でも上流階級は孔孟の教えや儒学で節操を高く保つべく,幼児のときから厳しく教育された。その証拠に,幕末に幕府から派遣された訪欧米視察団(中には20歳前の若者もいた)の各員が,欧米各国でその品性と知性の高さを絶賛された。これは彼らの教養がNoblesse obligeと一脈通じていた故である。

連載 症状から見た耳鼻咽喉科・頭頸部外科シリーズ

⑨難聴・耳鳴

著者: 福田諭

ページ範囲:P.262 - P.270

 はじめに
 難聴・耳鳴は,耳症状のなかでも最も代表的な症状であり,その原因疾患も数多く,また,しばしば相伴って現れる。したがって難聴・耳鳴を呈する全ての疾患について述べることは難しいので,ここでは本シリーズの趣旨である,日常的に比較的多く出合う疾患の症例について,主に難聴—特に感音難聴—を中心に呈示し,その診察のポイントなどについて述べていきたい。

基本情報

耳鼻咽喉科・頭頸部外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1316

印刷版ISSN 0914-3491

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