喉頭原発のSarcomatoid Carcinomaの2症例
著者:
石井祐司
,
牧嶋和見
,
杉本卓矢
,
樋口哲
,
金崎幹人
,
橋本洋
,
笹栗靖之
ページ範囲:P.250 - P.255
はじめに
喉頭に発生する悪性腫瘍の大半は,扁平上皮癌であり,本邦の最近の報告によると,その98%を占めているとされる1)。しかし,扁平上皮癌の亜型として分類されているsarcomatoid carcinomaが喉頭に発生する頻度は低く,喉頭悪性腫瘍のうち1%に満たない2)。本邦における本疾患の報告例では,一般に喉頭の扁平上皮癌に準じた治療が行われており3,4),とくに化学療法における薬剤選択などの工夫に乏しい。
CYVADIC療法は,1975年にSouthwest On-cology GroupのGottliebら5)により考案された,cyclophosphamide (CPM),vincristine (VCR),adriamycin (ADM),dacarbazine imidazole carboximide (DTIC)の4剤を用いる併用化学療法であり,悪性軟部腫瘍に対するレジメとして広く用いられている。われわれは喉頭のsar-comatoid carcinomaの2症例を経験し,化学療法としてCYVADIC療法を施行したので,その効果につき若干の文献的考察を加えて報告する。