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原著
耳下腺Polymorphous Low Grade Adenocarcinomaの1例
著者: 望月隆一1 牟田弘1 小野淳二1 倉田明彦2
所属機関: 1国立大阪病院耳鼻咽喉科 2国立大阪病院臨床検査科病理
ページ範囲:P.240 - P.244
文献購入ページに移動Polymorphous low grade adenocarcinoma (以下,PLGAと略す)は,1980年代頃より盛んに臨床病理学的検討がなされており,1991年のWHOの新分類1)に初めて記載された唾液腺腫瘍である。本腫瘍は,臨床的には遠隔転移がみられないなど予後が良好な点,病理組織学的にはその多彩な細胞配列と,均質で異型性に乏しい細胞構成という点が特徴的であり,もっぱら小唾液腺に発生するとされている。われわれが渉猟し得た限りでは,耳下腺に発生したPLGAは,これまでに4例しか報告がなく2〜5),本邦ではWHOの新分類以降報告例がない。
今回われわれは,PLGAに特徴的な病理組織像を示した耳下腺腫瘍の1例を経験したので,その臨床像ならびに病理組織像,および唾液腺腺癌について,文献的考察を加えて報告する。
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