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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科69巻4号

1997年04月発行

原著

摘出アブミ骨の組織学的検討

著者: 星野知之1 天野肇1 松浦由美子1 宮下弘1 大川康弘1

所属機関: 1浜松医科大学耳鼻咽喉科学教室

ページ範囲:P.281 - P.285

文献概要

 はじめに
 耳硬化症の診断がつくとアブミ骨手術が行われるが,摘出したアブミ骨の病変を組織学的にまとまって検討した報告は多くない1〜6)。近年ではアブミ骨を全部摘出するスタペデクトミー(stape-dectomy)は減って,底板を除去せずに手術するスタペドトミー(stapedotomy)を行う傾向にあるので,検討の機会はますます減っている。
 日本人の耳硬化症の発生頻度は,これまでもいくつかの報告があったが,1993年鈴木7)の273例545耳の側頭骨標本の検討の結果から出された数字(例数で3.7%,耳数で2.2%)が,検討例数が多いことから現在のところ最も信頼できる側頭骨での発生率と思われる。発生率は黒人よりも多く,白人よりも少ない。
 これまでわが国で報告されている側頭骨での病変は,欧米での報告に比べて程度の軽いものが多く,手術時の所見からも日本人の固着は白人のそれに比べて軽いことが推察される。摘出したアブミ骨でも白人と違う特徴が認められるのかどうか,アブミ骨の組織学的検討はこの点でも重要と思われる。
 この報告では耳硬化症の診断で手術を行い,摘出した19個のアブミ骨のついて組織学的の検討した結果を述べる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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