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原著
鼻副鼻腔癌肉腫の1症例
著者: 江浦陽一1 末田尚之1 池田宏之1 今村明秀1 加藤寿彦1 曽田豊二1 河村康司2
所属機関: 1福岡大学医学部耳鼻咽喉科学教室 2福岡大学医学部病理学第二教室
ページ範囲:P.291 - P.295
文献購入ページに移動上皮性悪性腫瘍である癌腫と,非上皮性悪性腫瘍である肉腫が同一器官に共存する病態を示す真性癌肉腫は比較的稀であり,子宮内膜や食道に好発するとされる1)が,鼻副鼻腔領域での発生は極めて稀な疾患である。
真性癌肉腫の診断においては,癌腫が肉腫様変化をきたしたり,また紡錘細胞への移行形が認められるような“いわゆる癌肉腫”と呼ばれる病態との鑑別が必要となってくる。そのような病態に対しては,今までの病理組織検査において,一般染色では真性癌肉腫と“いわゆる癌肉腫”の染色性や形態が類似しており鑑別は困難とされてきた。しかし,最近では電子顕微鏡的検索や免疫組織化学的手法の発達により,以前に比べ比較的容易に真性癌肉腫の診断が得られるようになり,また肉腫部分の組織診断も行えるようになってきている。
今回われわれは,鼻副鼻腔領域に発生し,免疫組織化学染色により扁平上皮癌と平滑筋肉腫が共存する真性癌肉腫と診断された1症例を経験したので,文献的考察を加え報告する。
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