文献詳細
原著
小児スギ花粉症の疫学的調査研究
著者: 中川肇1 渡辺行雄1 大橋直樹2 島岳彦1 大屋美香1 十二町真樹子1
所属機関: 1富山医科薬科大学耳鼻咽喉科学教室 2大橋耳鼻咽喉科医院
ページ範囲:P.308 - P.312
文献概要
スギ花粉の飛散は,例外的飛散を除き2〜3か月に限られている。一般に花粉症は我妻1)によると3〜5歳からみられ,素因の強いものでは3シーズン程度の曝露で発症すると考えられている。しかしながら,小児スギ花粉症の大規模な疫学的調査は森2)による栃木県壬生町における研究などが散見されるのみである。また,臨床症状について成人と比較検討したものは少ない。われわれは,1996年まででは最も花粉の飛散量が多い年であった1991年に大規模な疫学的調査を施行し,この中で,236例の15歳以下の小児症例をみいだすことができた3)。一方,現在の成人症例は,ほとんどが1970年代,すなわち,成人以降に発症した症例であることも判明し,小児の症例と疫学的に異なった母集団であることが考えられる。今回,小児スギ花粉症例の疫学的特徴について発症状況,症状,合併症に焦点をあて,成人発症症例と比較検討したので報告する。
掲載誌情報