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雑誌目次

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科69巻5号

1997年05月発行

雑誌目次

目でみる耳鼻咽喉科

副咽頭間隙に発生した巨大嚢胞を合併する腺様嚢胞癌

著者: 松脇由典 ,   市川菊乃 ,   重田泰史 ,   春名眞一 ,   吉見充徳

ページ範囲:P.352 - P.353

 今回われわれは,副咽頭間隙に発生した巨大嚢胞を合併する腺様嚢胞癌症例を経験したので報告する。
 症例:69歳,男性

原著

直達外力によるアブミ骨陥入症例の検討

著者: 粉川隆行 ,   相原康孝 ,   大山義雄 ,   馬場俊吉 ,   八木聰明

ページ範囲:P.355 - P.359

 はじめに
 外傷性鼓膜損傷は日常診療においてしばしば経験するが,耳かきなどの直達外力により内耳に損傷をきたし,とくに前庭へのアブミ骨陥入をきたすものは比較的稀である。過去約13年間にわれわれが経験した,直達外力によりアブミ骨陥入をきたした症例は,過去の数例の報告1,2)を含め6症例のみである。今回,これらの臨床症状,とくに前庭および蝸牛症状の経過について検討した。

顎下腺良性リンパ上皮性疾患の1症例

著者: 岩崎幸司 ,   宇佐神篤 ,   橋本泰幸 ,   小澤享史 ,   船井恒嘉

ページ範囲:P.360 - P.362

 はじめに
 良性リンパ上皮性疾患(benign lymphoepithe-lial lesion,以下BLEL)は病理学的にシェーグレン症候群(以下SjS)と同様の唾液腺組織所見を示す疾患である。文献的に耳下腺のBLELは散見されるが,顎下腺のBLELは稀である。今回われわれは右顎下部の腫瘤以外には臨床症状がなく,摘出した病理組織所見によりBLELと診断された1症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。

腫瘤形成性白血病1症例の側頭骨病理

著者: 小村豊 ,   加我君孝 ,   戸島均 ,   大蔵真一

ページ範囲:P.365 - P.369

 はじめに
 白血病に耳科的症状が合併することは,既に19世紀半ばより知られ,白血病における側頭骨病理について多数の報告1〜4)がある。しかし,詳細な浸潤様式や経路,また最近の治療の進歩にともなう病態の変化についての検討は少ない。今回われわれは,腫瘤形成性白血病の1症例を通して,白血病細胞が多発・散発性に側頭骨内に浸潤した機序と経路および治療抵抗性のtumor-forming type(腫瘤形成性)の白血病像を呈した点について検討したので報告する。

兄弟に同時発症したベル麻痺

著者: 高橋宏尚 ,   河村裕二 ,   村上信五

ページ範囲:P.370 - P.373

 はじめに
 ベル麻痺に家族性に発症する症例があることは従来から報告されている1,2)。また,兄弟に数年の間隔をおいて発症したという報告3)もあるが,同時に発症したという報告はない。今回,著者らは兄のベル麻痺発症後6日目に,弟にも発症した同時性家族性ベル麻痺症例を経験した。ベル麻痺発症の病因,誘因,機序を環境因子,遺伝的素因などから解明するのに貴重な症例と考え報告する。

当科における原発不明頸部癌の臨床的検討

著者: 武市紀人 ,   飯塚桂司 ,   樋口栄作 ,   庄田英明

ページ範囲:P.374 - P.378

 はじめに
 頭頸部領域では,頸部転移巣のみで原発巣が確認できない,いわゆる原発不明癌は全頭頸部癌の1〜5%を占めており1),初診時すでにN1,Stage III以上の臨床病期であることからその予後は不良で,5年生存率はほぼ20〜50%とされている2,3)。全腫瘍に占める割合は低いが,診断技術の進歩にもかかわらずその割合は減少傾向は示しておらず4),絶えず臨床的な問題を提起している。
 今回,当科において経験した原発不明頸部癌の症例について,診断に至る経過,そして原発巣の処理と頸部転移巣の対処の仕方を検討し,臨床的な問題点をあげて考察した。

当科における下咽頭癌の臨床統計—両側頸部郭清の適応を中心に

著者: 鈴木光也 ,   浅井昌大 ,   丹生健一 ,   菅沢正

ページ範囲:P.380 - P.384

 はじめに
 下咽頭癌は,頭頸部癌のなかでは予後不良の疾患の1つである。StageⅢ,Ⅳといった,いわゆる進行癌の状態で初診することが多く,手術,化学療法,放射線療法を併用した集学的治療を行っている施設が多い1,2)。しかしその術式,特に頸部郭清術の適応に関しては,施設によりさまざまである1〜3)。当科においては,基本的にはneo-adjuvant chemotherapy施行後に咽喉食摘,両側頸部リンパ節郭清を行い,症例によって術後照射を併用してきた。今回,国立東静病院耳鼻咽喉科にて初回治療を行った下咽頭癌症例をまとめるとともに,その術式について検討する。

顎下腺血管腫の1例

著者: 中村一博 ,   藤田博之 ,   萩原晃 ,   西山信宏 ,   吉田知之 ,   平出文久 ,   柿崎大

ページ範囲:P.386 - P.389

 はじめに
 血管腫は頭頸部領域ではまれではなく,鼻腔においては良性腫瘍の約半数を占めるといわれている。しかし唾液腺に発生する血管腫は少なく,そのうち大部分は耳下腺に発生し,顎下腺には極めてまれである。今回われわれは顎下腺に発生した血管腫を経験したので報告する。

耳下腺腺房細胞腫の2例

著者: 海沼和幸 ,   鈴木俊哉 ,   野村康 ,   後藤昭信 ,   田口喜一郎 ,   福島万奈

ページ範囲:P.390 - P.394

 はじめに
 耳下腺腫瘍において腺房細胞腫は粘表皮腫と同様にlow grade malignancyに分類される稀な腫瘍である。今回,われわれは耳下腺に発生した腺房細胞腫2例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。

当科の聴器癌治療症例の検討

著者: 樋口栄作 ,   飯塚桂司 ,   庄田英明 ,   武市紀人

ページ範囲:P.399 - P.404

 はじめに
 聴器は解剖学的に骨で囲まれた複雑な構造をしているため,ここに発生する悪性腫瘍は早期発見が難しく手術的切除が困難な場合が少なくない。また,腫瘍の進展範囲の正確な把握が難しく,病期分類も確立されていないため,各施設では症例ごとに治療法を模索しているのが現状であると思われる。今回われわれは,頭頸部領域では比較的稀とされる聴器癌を過去11年間に6例経験したので,これらについて臨床的検討を行い,さらに病期分類と治療法を中心に文献的考察を行ったので報告する。

喉頭癌に対する光線力学的療法後の音声評価

著者: 井上斉 ,   吉田知之 ,   渡嘉敷亮二 ,   長谷川達哉 ,   西山信宏 ,   平出文久 ,   舩坂宗太郎

ページ範囲:P.407 - P.410

 はじめに
 声帯に限局するT1,T2の喉頭癌に対する治療は従来より広く放射線治療が中心となって行われてきた。しかし,照射によって腫瘍のみならず正常な粘膜も少なからず障害されるため,放射線治療終了後も声帯の発赤や血管拡張などが認められ,長期間観察していると瘢痕収縮などを起こし声帯振動の低下をきたす症例に遭遇する。その結果,患者は放射線治療終了後も長期にわたり音声障害を訴えることになる。
 当施設では喉頭癌に対し腫瘍のみを選択的に治療できる光線力学的療法(photo-dynamic ther-apy,以下PDT)を行ってきた。そこで,PDT後の音声と放射線療法後の音声を比較検討したので報告する。

鏡下咡語

定年後の仕事

著者: 設楽哲也

ページ範囲:P.396 - P.397

 私がもっとも尊敬するお一人である学会の先輩が,ある時私にこう言われた。
 「自分の進む道について考えたことはない。常に誰かの推挙により進む道が開かれた」と。

医療ガイドライン

時代逆行の新補聴器

著者: 大和田健次郎

ページ範囲:P.411 - P.413

時代逆行とは,この補聴器がアナログ,リニヤの箱型だからであり,本稿はデジタルやノンリニヤに執着している人々への反攻である。

連載 症状から見た耳鼻咽喉科・頭頸部外科シリーズ

⑪めまい

著者: 八木聰明

ページ範囲:P.414 - P.420

 I.問診による診断
 めまいは症状であり,その詳しい聴取はめまいの診断にとって特に重要である。問診を上手に行うことによって,特定の疾患をイメージアップすることもできる。常に診断を行うことを念頭に置きながら,次のような点に注意を払って問診を進める。すなわち,①発症の仕方,②蝸牛症状の有無,③誘因の有無,④蝸牛症状以外の随伴症状(神経症状),⑤全身的要因,などの点である。
 表1は,日本平衡神経科学会の示した「めまい・平衡障害の診断ガイドライン」に提示されためまい診断のフローチャートである。不要な部分や複雑な部分をかなり削除してあるために単純ではあるが,考えのもとになるものとしては有用であろう。このチャートを使いながら,次にあげる2つの具体例について考えてみたい。

基本情報

耳鼻咽喉科・頭頸部外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1316

印刷版ISSN 0914-3491

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