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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科69巻6号

1997年05月発行

特集 外傷と耳鼻咽喉科

1.耳 3.鼓膜・中耳・内耳

2.側頭骨骨折 ②縦骨折

著者: 小川郁1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科学教室

ページ範囲:P.56 - P.59

文献概要

 ■はじめに
 交通外傷の増加に伴い側頭骨骨折をきたす頭部外傷症例が増加している。その他,スポーツ外傷,労働外傷による側頭骨骨折も少なくない。
 側頭骨骨折は骨折部位により,縦骨折,横骨折,そしてその両者が混在する混合骨折に分類される。これら骨折部位は側頭骨にかかる外力の強さ,方向に依存し,当然のことながら主に側頭骨内の脆弱な部位に生じる。横骨折は前頭部または後頭部打撲により生じることが多く,その骨折線は大後頭孔より頸静脈孔,内耳道に至り,内耳骨包を横断するように中耳に達する。内耳骨包に骨折が生じることから,高度の感音難聴をきたすことが多い。平衡障害もほぼ必発であり,障害直後より回転性めまいのため起立困難となり,嘔気,嘔吐を伴う。横骨折の約半数に顔面神経麻痺が生じるとされ,そのほとんどが即発性である。障害部位は顔面神経迷路部から水平部であり,顔面神経が断裂することが多く,一般にその予後は不良である。一方,側頭骨骨折の約80%を占める縦骨折は,横骨折に比べて発生頻度は高いが,その障害は外科的に修復可能であり予後も良好な場合が多い。以下,本稿では側頭骨縦骨折を中心に述べる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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