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目でみる耳鼻咽喉科
Salivary duct carcinomaの1症例
著者: 江浦陽一1 近藤毅1 加藤寿彦1
所属機関: 1福岡大学医学部耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.430 - P.431
文献購入ページに移動 Salivary duct carcinoma (以下,SDCと略)は1968年にKleinsasserらにより初めて報告された。その特徴は次の2つに大別される。1)病理組織学的には唾液腺の排泄導管より発生し,乳癌の組織像に類似しており,2)臨床的には比較的稀な疾患であり,再発や転移が多く厳重な臨床観察を要する予後不良な唾液腺悪性腫瘍である。
本症例は75歳の男性で,約1年半前より右耳下部の腫瘤に気づいたが放置していた。初診時は右末梢性顔面神経麻痺および右耳下部に約7.5cm,右上頸部に約6cmの腫瘤を触知し,耳下腺周囲の皮膚は発赤,腫脹していた(図1)。その他の耳鼻咽喉科的所見には異常を認めず,また胸部X線,心電図,一般血液検査および生化学検査にも異常は認めなかった。CTで,右耳下腺内に3cmの境界不明瞭,内部不均一に造影され石灰化を伴う腫瘤陰影(赤矢印)を認めたが,右上頸部の腫瘤は軟部組織自体がびまん性腫瘍状陰影(白矢印)として認められた(図2)。
本症例は75歳の男性で,約1年半前より右耳下部の腫瘤に気づいたが放置していた。初診時は右末梢性顔面神経麻痺および右耳下部に約7.5cm,右上頸部に約6cmの腫瘤を触知し,耳下腺周囲の皮膚は発赤,腫脹していた(図1)。その他の耳鼻咽喉科的所見には異常を認めず,また胸部X線,心電図,一般血液検査および生化学検査にも異常は認めなかった。CTで,右耳下腺内に3cmの境界不明瞭,内部不均一に造影され石灰化を伴う腫瘤陰影(赤矢印)を認めたが,右上頸部の腫瘤は軟部組織自体がびまん性腫瘍状陰影(白矢印)として認められた(図2)。
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