文献詳細
原著
髄膜炎を反復した両側Mondini型内耳奇形の1手術例
著者: 佐川鉄太郎1 松崎充男1 安岡義人1 亀井民雄1
所属機関: 1郡馬大学医学部耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.545 - P.548
文献概要
Mondini型内耳奇形については,1791年にMondiniが拡大した前庭と1回転半の蝸牛として初めて報告した1)。その後Ormerod2)は基底回転のみの蝸牛または扁平蝸牛と,前庭半規管の低形成とし,またSchuknecht1)は骨迷路および膜迷路の不完全な発育としており,現在もその定義は統一されていない。
Mondini型内耳奇形では,耳性髄液漏を合併して反復性髄膜炎を起こす危険性があるとされ3),髄液漏のルートとして内耳道から前庭を通るものが多い1,4,5)。すなわち,前庭と内耳道間の骨隔壁(Lamina cribrosa)およびアブミ骨底板の骨欠損を伴うことが多く3,5〜7),くも膜下腔からの髄液圧が直接前庭窓に加わることになる。そして何らかの原因で外リンパ圧が上昇したときに,アブミ骨底板の先天性骨欠損部に穿孔をつくり,耳性髄液漏が生じると考えられる6)。
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