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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科69巻9号

1997年08月発行

原著

巨大甲状腺腫の診断と上縦隔処理

著者: 河田了1 四ノ宮隆1 丁剛1 村上泰1

所属機関: 1京都府立医科大学耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.593 - P.597

文献概要

 はじめに
 甲状腺癌の大部分は分化癌であり,その発育速度は概して緩慢なため拡大手術,すなわち周囲臓器合併切除を余儀なくされることは稀である。しかし時として気管,喉頭への浸潤,下方では上縦隔へ進展する例がみられる。すなわち,甲状腺腫のほとんどは鎖骨より上にとどまっているが,進行例や再発例の一部では鎖骨や胸骨より下方に進展して上縦隔の処理が必要となる1〜3)。上縦隔には大きな動静脈,神経,気管,食道,肺尖などが比較的狭い部位に存在し,その手術操作に対しては高度の臨床解剖の知識と技術が要求される。したがって,術前の画像診断などで上縦隔進展が疑われた場合,手術のアプローチ,とりわけ胸骨,鎖骨の処理をいかにすべきか迷うことが少なくない。甲状腺癌取扱い規約4)のJT分類によれば,腫瘤が50mmより大きいものをJT3としているので,今回,腫瘤の最大径が50mmより大きいものを大きな甲状腺腫と定義した。そのなかで特に上縦隔に進展した例を中心に縦隔処理について検討した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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