文献詳細
原著
エンドトキシンショックを併発した深頸部感染症の1症例
著者: 鈴村恵理1 雨皿亮1 浦仁志2
所属機関: 1三重県立総合医療センター耳鼻咽喉科 2三重県立総合医療センター内科
ページ範囲:P.623 - P.627
文献概要
抗生物質の発達した現在でも,深頸部感染症は適切な治療を怠ると重篤な合併症を引き起こす可能性のある疾患である。また,抗生物質による症状の遮蔽化や耐性菌,嫌気性菌の関与により病態はむしろ複雑になってきている1)。しかし,検出菌に関しての報告はグラム陽性球菌と嫌気性菌の報告が主で2),グラム陰性桿菌によるエンドトキシンショックについての報告は,われわれが検索したかぎりでは認められなかった。今回われわれは,深頸部膿瘍により縦隔膿瘍へと進行し,経過中にエンドトキシンショックを併発したが,頻回の膿瘍ドレナージ術と全身管理により救命し得た症例を経験したので,若干の考察を加えて報告する。
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