文献詳細
原著
上顎洞血瘤腫の術前画像診断
著者: 奥窪明子1 石田春彦1 天津睦郎1 高雄真人2
所属機関: 1神戸大学医学部耳鼻咽喉科学教室 2三田市民病院耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.35 - P.38
文献概要
上顎洞血瘤腫は比較的稀な疾患で,田所1)が1917年に報告して以来,鼻腔,副鼻腔に凝血塊を主とした腫瘤を形成した状態に対して使用されている臨床的な名称である。本疾患患者の多くが反復性の鼻出血をきたすことや,単純X線写真でも骨破壊を示す症例がある点2〜7)で臨床的には悪性腫瘍との鑑別が困難な場合が多い。
当科で最近10年間に経験した上顎洞血瘤腫症例は5例であった。全例で上顎洞試験開洞を行い,病理組織学的に腫瘍性病変を認めず,出血巣や壊死組織のみであることを確認して診断を行った。5例のうち術前にCTを4例に,MRIを3例に施行した。これまで血瘤腫のCT,MRI所見についての詳細な報告はみられていない。そこで,これらの画像所見について血瘤腫と悪性腫瘍の比較検討を行い,画像による血瘤腫の術前診断が可能かどうかを検討したので,文献的考察とともに報告する。
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