icon fsr

文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科70巻10号

1998年09月発行

トピックス 頭頸部癌—私の治療方針と成績(その2)

3.上咽頭癌stage IV症例

②癌研究会附属病院における上咽頭癌stage IVの治療法と成績

著者: 鎌田信悦1

所属機関: 1癌研究会附属病院頭頸科

ページ範囲:P.638 - P.644

文献概要

 はじめに
 上咽頭癌は放射線感受性が比較的高く,これまでの標準的な治療法として放射線照射が第1選択として用いられてきた。しかし,stage IIIまでの原発巣と頸部リンパ節転移の制御率には満足し得る結果が得られるものの,T4およびN3の放射線制御率は決して満足できるものではなかった1,2)。また,遠隔転移率が高い上咽頭癌において局所療法である放射線治療は自ずと限界があった3)。これらの限界を打ち破るために,化学療法が様々な形で用いられ,それなりの成果を上げてきている。特にシスプラチンが頭頸部癌の治療に用いられて以来,化学療法の奏効率が向上し,併用療法の成果が出ている。化学療法を併用する方法には,放射線照射に先立って化学療法を行うinductionchemotherapy,放射線と同時期に投与するcon-current chemoradiotherapy,照射後に行うad-juvant chemotherapyがある。この中で,ad-juvant chemotherapyは上咽頭癌の遠隔転移抑制効果が証明されている4,5)
 上咽頭癌の新分類stage IVは放射線治療で難治性のものと考えて間違いはない(表1)。舌癌や下咽頭癌のリンパ節転移が放射線抵抗性であるのに対し,上咽頭癌の頸部リンパ節転移は放射線感受性が高く6cmを超えるN3が放射線照射で消失することは珍しくはない。とはいうものの,やはり難治性であることには違いはなく,化学療法や手術の併用で治療効果向上の努力がなされている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら