文献詳細
トピックス 頭頸部癌—私の治療方針と成績(その2)
4.頸部転移を有する中咽頭癌
①関西医科大学病院の場合
著者: 熊澤博文1 辻裕之1 蔦佳尚1 南野雅之1 立川拓也1 井上俊哉1 南豊彦1 山下敏夫1
所属機関: 1関西医科大学耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.647 - P.651
文献概要
現在の中咽頭癌の治療として,放射線治療と手術治療に大別され,化学療法が補足的治療として位置づけされる。解剖学的に複雑な中咽頭に発生した腫瘍は,その発生した各部位や組織型により治療内容の選択に差違があることが指摘されている。さらに,放射線治療後での味覚障害,口内乾燥が出現することや手術治療後には嚥下障害,構音障害などの機能障害を伴うことが多く,癌根治性の追求と治療後の機能障害発現の回避の観点から,各治療方法を選択する際に論議となることが多い。これらの理由で,本邦においていまだ確立された治療指針がなく,各施設において種々の治療内容が存在するものと考えられる。当科においても,今日まで中咽頭扁平上皮癌症例に対して行ってきた過去の治療内容とその成績を検討することで治療方針の変更を適宜行ってきた。
本稿では当科における治療成績を述べるとともに,中咽頭癌に多い頸部リンパ節転移を伴う病期分類III期とIV期の側壁型進行癌に対し,当科で行われている最近の治療内容についても言及し報告する。
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