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原著
長期間のバルサルバ法により発症した気脳症症例
著者: 卜部吉博1 秋定健1 宇野雅子1 東川康彦1 竹本琢司1 折田洋造1
所属機関: 1川崎医科大学耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.738 - P.741
文献購入ページに移動バルサルバ法は,18世紀初頭イタリア人のバルサルバにより提唱されて以来,現在自己通気として最も知られており,滲出性中耳炎の治療として奨励している施設がある。今回われわれは,滲出性中耳炎にて近医で耳管カテーテル通気を施行されていたが,その後バルサルバ法を長期続けた結果,眼窩,頭蓋内に気腫が発生して眼球突出,複視が出現した症例を経験した。カテーテル通気により粘膜下気腫を起こすことは時にあるが,バルサルバ法で頭蓋内まで至る気腫が発生した例は極めて稀と思われたので,若干の考察を加え報告する。
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