文献詳細
原著
術後に肺血栓塞栓症を合併した甲状腺癌症例
著者: 花田武浩1 西元謙吾1 廣田常治2
所属機関: 1鹿児島県立鹿屋病院耳鼻咽喉科 2ひろた耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.925 - P.928
文献概要
甲状腺癌手術後に肺血栓塞栓症を合併し,その治療に難渋したが救命し得た症例を経験した。肺血栓塞栓症は,臨床経過や血行動態安定期の肺高血圧の有無により急性肺血栓塞栓症と慢性肺血栓塞栓症の2つに大別される。体深部静脈の血栓症に由来することが多く,病理解剖学的には1846年のVirchowの記載にまでさかのぼることができる1)。
本症は人種差が著明で,アメリカでは年間63万人が発症する2)。一方,本邦ではその1/50程度の発症と推測されていたが3),食事の欧米化などに伴い増加が懸念されている4)。症例の概要を述べるとともに,診断の困難な本疾患に対しての注意を広く喚起するものである。
掲載誌情報