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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科70巻2号

1998年02月発行

原著

水痘感染後に生じた感音難聴の1症例

著者: 本間利生1 原田勇彦1 川端五十鈴1

所属機関: 1埼玉医科大学総合医療センター耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.85 - P.88

文献概要

 はじめに
 ウイルス感染により生じる難聴には様々なタイプがあり,その感染部位により伝音難聴,感音難聴あるいは混合難聴などがみられる。この中で感音難聴を呈する場合には,ウイルスが内耳に感染したと考えられることが多い。胎児に感染して先天性難聴をきたすことでは風疹ウイルス,サイトメガロウイルスなどが知られており,生後感染し後天性難聴をきたすウイルスではムンプス,麻疹,水痘,インフルエンザなど数十種類以上が報告されている1)。このうち水痘ウイルスによる難聴としては,主に成人に発症するRamsay Hunt症候群に続発するものが有名であるが,これは幼少児期に感染した水痘ウイルスの再活性化と考えられる疾患である。これに対して水痘ウイルスの初感染に続発する難聴は,教科書的な記載はあるものの,個々の症例の具体的な報告となると極めて少ない。
 最近筆者らは兄弟で同時期に水痘に罹患し,17歳の弟にのみ発症した一側急性高度感音難聴の1症例を経験した。以前にも筆者ら2)は5歳の男児に発症した同様の症例を報告したが,今回の症例は多少臨床経過が異なることと,こうした水痘による感音難聴症例の報告が極めて少ない現状を考慮し,ここに今回の症例の詳細を報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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