icon fsr

文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科70巻2号

1998年02月発行

鏡下咡語

鼓室形成術ことはじめ

著者: 森満保1

所属機関: 1宮崎医科大学

ページ範囲:P.118 - P.119

文献概要

 ここでの鏡は手術用双眼顕微鏡であり,その下には患者さんの中耳がある。囁語は昭和30年代の術者の嘆きの声であるが,今では術後患者の歓声である。
 昭和39年頃,九大耳鼻科の医局長であった私は耳鼻科を辞めたいという後輩の説得に躍起となっていた。彼は言う。「耳鼻科の医者は大嘘つきだ。ちっとも治らないのに治るといって手術している。なんとか治るのは扁桃と鼻中隔の手術ぐらいで,副鼻腔炎も中耳炎も全く治らない。患者さんが可哀想だ。こんなインチキな科は辞めたい」と。私は「確かに今は手術しても耳漏は止まらないし,聴力も良くならない。だからこそ研究のしがいがあるのじゃないか。お互いに頑張って確実に治せる手術法を開発しようじゃないか」と説得した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら