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原著
気管切開後に発生した気管腕頭動脈瘻の1例
著者: 真栄田裕行1 古謝静男1 糸数哲郎1 宇良政治1 国吉幸男2 古謝景春2 野田寛1
所属機関: 1琉球大学医学部耳鼻咽喉科学教室 2琉球大学医学部第二外科学教室
ページ範囲:P.179 - P.182
文献購入ページに移動気管切開術は,緊急時に気道を確保する目的で行われる最も基本的な手術操作であり,日常的に行われているが,その合併症も少なくない。合併症には,手術中あるいは術後早期に起こる早期合併症と,術後数か月以上経過して起こる晩期合併症に大別される。
今回われわれの経験した気管腕頭動脈瘻は晩期合併症の中でも最も重篤なもので,致命的な大出血を引き起こす。本邦においては耳鼻咽喉科,気管食道科をはじめ,胸部外科領域などで年に1例ほどの報告が散見されるが,いずれも深刻な結果をきたしている。
今回われわれは,開胸下に腕頭動脈を結紮することで救命し得た気管切開後の気管腕頭動脈瘻の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する。
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