文献詳細
原著
11歳男児にみられた上咽頭癌の1症例
著者: 渡邊健一1 後藤穣1 陣内賢1 秋元利香1 大河原大次1 中溝宗永1 大久保公裕1 八木聰明1 内藤善哉2 杉崎裕一2
所属機関: 1日本医科大学耳鼻咽喉科学教室 2日本医科大学耳鼻咽喉科病理学教室
ページ範囲:P.183 - P.186
文献概要
小児の上咽頭癌は少ない疾患であり,発生頻度は小児の全悪性腫瘍の1%以下とされている1)。上咽頭の解剖学的特徴から初期にはほとんどが無症状であり,小児では70〜80%が頸部リンパ節腫脹を初発症状として発見され1〜3),診断時には病期の進んでいることが多い。また,このことが本疾患の予後を不良にする原因の1つになっている。治療としては,成人の場合に準じて放射線療法と化学療法の併用が行われており,良好な成績も報告されている4,5)。しかし,再発,遠隔転移や治療による成長障害,性腺への影響,二次癌などの問題が存在する6,7)。今回,われわれは頸部腫脹を主訴に来院した小児の上咽頭癌症例を経験したので報告する。
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