原著
新しい眼球運動三次元解析システムについて
著者:
八木聰明
,
大山義雄
,
嘉村恵理子
,
設楽明子
,
粉川隆行
,
阿部聡
,
西辻順一
ページ範囲:P.241 - P.247
はじめに
眼球運動は正面前方無限大の距離を注視している位置で,眼窩内の1点(回旋点)を通る上下方向への軸,左右方向への軸,それに加え前後方向への軸(視軸と一致)の3軸を中心にした回旋運動である。この運動によって眼球は水平,垂直,回旋の三次元運動を行うことができる。
したがって,眼球運動を正確に解析するためには,三次元的な解析が必要になる。しかし,実際に三次元解析を行うことは,比較的最近になるまで不可能であった。エレクトロニクスやテクノロジーの進歩によって,近年ようやく眼球運動の三次元解析が可能になってきた。
眼球運動のビデオ画像を,コンピュータによる画像認識技術を用いて解析する方法とその応用については,1989年以来多くの報告を行ってきた1〜6)。その方法も徐々に改良を重ねてきたが,基本的な方略については大きく変化していない。この方法によって多くの新たな結果が得られたが,三次元解析の完全自動化にはまだ至らない状態であった。そこで,本研究では新たな眼球運動三次元解析システムについて,現在のシステムと比較しつつ検討を加えた結果を報告する。