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特集 高齢者の耳鼻咽喉科・頭頸部疾患—治療とリハビリのてびき 4.高齢者の音声・言語障害
①高齢者音声障害の病態
著者: 福田宏之1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.79 - P.84
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喉頭の発声機能は,ホルモンによる調整を受けていることは論をまたない。したがって,音声の生理的経年変化は当然ある。しかし,高齢者における経年変化の原因はホルモンによることもあると思うが,粘膜の物理学的性質の変化や気道の分泌液の量的,質的変化によることが多いと思われる1,2)。このことからまず考えられる高齢者特有の音声障害の病態は,発声機構の中における声帯粘膜の生理的能力,喉頭の潤滑作用の能力の経時的変化が通常より早くて高齢者を悩ませている場合と,通常の経時的変化にもかかわらず患者が病的と認識してしまう場合とがある。これらが高齢者だけにみられる特有の音声障害の病態である。このことと,高齢者に高頻度でみられて治療に格別の配慮が要求されるものもある。
喉頭の発声機能は,ホルモンによる調整を受けていることは論をまたない。したがって,音声の生理的経年変化は当然ある。しかし,高齢者における経年変化の原因はホルモンによることもあると思うが,粘膜の物理学的性質の変化や気道の分泌液の量的,質的変化によることが多いと思われる1,2)。このことからまず考えられる高齢者特有の音声障害の病態は,発声機構の中における声帯粘膜の生理的能力,喉頭の潤滑作用の能力の経時的変化が通常より早くて高齢者を悩ませている場合と,通常の経時的変化にもかかわらず患者が病的と認識してしまう場合とがある。これらが高齢者だけにみられる特有の音声障害の病態である。このことと,高齢者に高頻度でみられて治療に格別の配慮が要求されるものもある。
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