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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科70巻5号

1998年04月発行

特集 高齢者の耳鼻咽喉科・頭頸部疾患—治療とリハビリのてびき

11.高齢者の耳鼻咽喉科疾患と精神疾患

②耳鼻咽喉科疾患とせん妄・意識障害

著者: 酒井明夫1

所属機関: 1岩手医科大学神経精神科学教室

ページ範囲:P.193 - P.196

文献概要

 I.せん妄と他の意識障害
 意識障害には,意識の曇りの程度に関して様々な分類があるが,精神医学的に重要と考えられるのは,せん妄,もうろう状態,夢幻状態,アメンチアなど,軽度の意識混濁もしくは意識変容を土台として行動異常や精神症状を呈する複雑な病態である。こうした病態は,いわゆる症状精神病の中核であり,精神科医へのコンサルトにつながることが多い。まずせん妄(delirium)は,意識混濁に加えて錯覚,幻覚,妄想などの知覚・思考障害に精神運動興奮が併存するもので,患者の身体的治療の継続を困難にして予後に影響を与えるだけでなく,病棟内では他患に対する影響をも考慮しなければならない深刻な病態である。もうろう状態(twilight state)は,簡単にいえば意識野の狭窄であり,ヒステリーやてんかんでみられるが,夢遊症もしくは夢中遊行(somnambulism)と呼ばれるものもこれに含まれる。夢幻状態(oneiroid state)というのは,現実と空想の区別が困難になってそれらが混淆した状態であり,伝統的には非定型精神病の錯乱状態に関連づけられてきたものである。最後のアメンチア(amentia)は,軽い意識混濁を背景として思考のまとまりが悪くなっていて,当人自身が困惑している状態である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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