icon fsr

文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科70巻6号

1998年05月発行

トピックス ベル麻痺の診断と治療—最近の知見

2.ベル麻痺の発症と単純ヘルペスウイルス感染

著者: 古田康1 高須毅1 鈴木清護1

所属機関: 1北海道大学医学部耳鼻咽喉科学教室

ページ範囲:P.315 - P.320

文献概要

 はじめに
 特発性顔面神経麻痺(ベル麻痺)の病因については,血液循環不全やウイルス感染などが推測されてきた。中でもウイルス感染は,最も疑わしい原因の1つである。その理由としては,ベル麻痺の前駆症状として感冒様症状を伴うことがあること,また水痘帯状疱疹ウイルス(varicella-zoster virus:VZV)の再活性化により,末梢性顔面神経麻痺(Ramsay Hunt症候群)が発症することなどがあげられる。実際に,初診時にベル麻痺と診断された症例中には疱疹を伴わないVZV再活性化が血清学的検査1)やpolymerase chain reaction(PCR)検査2)で明らかになることもあり,これらの症例はzoster sine herpeteと診断されるべきであり,ベル麻痺とは区別しなければならない。さらに,最近の分子生物学的研究の進歩により,単純ヘルペスウイルス1型(herpes simplex virus type1:HSV−1)の再活性化がベル麻痺の1つの病因であることが明らかになってきた3,4)。本稿では,HSV感染と顔面神経麻痺に関する現在までの研究の背景を述べるとともに,筆者らが行ってきた研究を紹介する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら