文献詳細
文献概要
原著
麻疹後に感音難聴と平衡障害を呈した1例—側頭骨病理組織所見を中心に
著者: 黄麗輝1 加我君孝1 落合幸勝2 田中美郷3 鈴木淳一3
所属機関: 1東京大学医学部耳鼻咽喉科学教室 2東京都立北療育センター小児科 3帝京大学医学部耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.345 - P.349
文献購入ページに移動麻疹による感音難聴は,現在ではワクチンの普及により稀である。
麻疹による小児の高度難聴に占める割合はShambaughら1)(1928)の6.7%,Yearsley(1934〜1935)の9.3%,Goodman (1949)の4.4%,Simpson (1949)の5.0%,Bordley (1952)の6.4%,Kinney (1953)の10%などが報告されている。ワクチン接種の普及により報告は稀となった。しかし,MMRワクチン接種による後遺症が注目されてからは,麻疹ワクチン接種率が低下の傾向にあり,再び麻疹による難聴の発生が危惧されている。
麻疹による感音難聴と平衡障害の側頭骨病理組織の研究報告は少ない。今回われわれは,麻疹罹患後に感音難聴と平衡障害が発症したと思われる1例の側頭骨病理組織所見を報告する。
掲載誌情報