文献詳細
原著
進行性線維腫症を呈したスキルス型胃癌の頸部転移例
著者: 脇坂浩之1 湯本英二1 森敏裕1 兵頭政光1 西原信成1 丸山純1 高田清式2
所属機関: 1愛媛大学医学部附属病院耳鼻咽喉科 2愛媛大学医学部附属病院第一内科
ページ範囲:P.445 - P.449
文献概要
頸部腫瘤をきたす悪性腫瘍は,頭頸部領域原発腫瘍や悪性リンパ腫が多く,一部の肺癌や食道癌を除けば胸腹部領域からの遠隔転移は少数である。また,頸部全体に結合織の増殖を伴ってび漫性に転移をきたし,進行性線維腫症ともいえる病態を呈することは稀である。今回われわれは,頸部および鼠径部を中心に発生した高度の進行性線維腫症の原因が,胃低分化型腺癌の遠隔転移であったと剖検で初めて診断された症例を経験した。頸部進行性線維腫症の原因の1つとして悪性腫瘍を念頭におく必要があることを痛感し,また血中サイトカインの分析から,線維腫症の成因として胃癌細胞の産生する塩基性線維芽細胞増殖因子(basic fibroblast growth factor:以下,bFGFと略)などの関与が強く示唆されたので,若干の文献的考察を加えて報告する。
掲載誌情報