文献詳細
文献概要
原著
甲状腺手術前に指摘し得たnon-recurrent laryngeal nerveの1例
著者: 加藤昭彦1 山田弘之1 石永一1
所属機関: 1山田赤十字病院耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.146 - P.149
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反回神経の走行異常であるnon-recurrent la-ryngeal nerve (以下,NRLNと略)は1823年にStedman1)により初めて報告されて以来,本邦でも報告2〜8)が散見されるようになっている。NRLNの発生頻度は報告により幅があり,佐野ら2)は0.4%,吉田ら3)は1.1%,大下ら4)は2.1%としている。しかし,それだけの頻度で遭遇する可能性があるにもかかわらず,報告例の大部分は術中にNRLNが確認されたものであり,術前よりNRLNの存在を疑ったうえで手術により確認した報告は少ない。
今回われわれは,甲状腺乳頭状腺癌に対して術前に行った頸部CTにおいて右鎖骨下動脈起始異常の存在が疑われたため,右NRLNを疑ったうえで甲状腺全摘術を行い,NRLNを確認し得た症例を経験したので報告する。
反回神経の走行異常であるnon-recurrent la-ryngeal nerve (以下,NRLNと略)は1823年にStedman1)により初めて報告されて以来,本邦でも報告2〜8)が散見されるようになっている。NRLNの発生頻度は報告により幅があり,佐野ら2)は0.4%,吉田ら3)は1.1%,大下ら4)は2.1%としている。しかし,それだけの頻度で遭遇する可能性があるにもかかわらず,報告例の大部分は術中にNRLNが確認されたものであり,術前よりNRLNの存在を疑ったうえで手術により確認した報告は少ない。
今回われわれは,甲状腺乳頭状腺癌に対して術前に行った頸部CTにおいて右鎖骨下動脈起始異常の存在が疑われたため,右NRLNを疑ったうえで甲状腺全摘術を行い,NRLNを確認し得た症例を経験したので報告する。
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