文献詳細
原著
文献概要
はじめに
上顎洞は小さい自然孔で外界に通じる腔であり,この自然孔からの異物の進入は少ない。したがって,上顎洞にみられる異物は外傷などの外力によって上顎洞骨壁を破壊して上顎洞に達したもの(外傷性)と医療行為が原因で上顎洞内に進入あるいは残存したもの(医原性)の2つに大別される。そして近年,外傷性よりも医原性異物が増加する傾向にある1)。
上顎洞底に隣接した歯槽突起には歯牙が存在するので,医原性上顎洞異物には歯根や歯牙などの歯科に関係するものが多くみられる。さらに,歯牙の治療に用いられる歯科器材や歯根充填材などの治療用具の迷入が報告されている1〜5)。われわれは最近,歯根管充填材の1つであるガッターパーチャポイントが上顎洞内に迷入し,しかも7年間の長期にたわって滞留していたという興味ある症例を経験したので,その臨床像を記載するとともに若干の考察を加えて報告する。
上顎洞は小さい自然孔で外界に通じる腔であり,この自然孔からの異物の進入は少ない。したがって,上顎洞にみられる異物は外傷などの外力によって上顎洞骨壁を破壊して上顎洞に達したもの(外傷性)と医療行為が原因で上顎洞内に進入あるいは残存したもの(医原性)の2つに大別される。そして近年,外傷性よりも医原性異物が増加する傾向にある1)。
上顎洞底に隣接した歯槽突起には歯牙が存在するので,医原性上顎洞異物には歯根や歯牙などの歯科に関係するものが多くみられる。さらに,歯牙の治療に用いられる歯科器材や歯根充填材などの治療用具の迷入が報告されている1〜5)。われわれは最近,歯根管充填材の1つであるガッターパーチャポイントが上顎洞内に迷入し,しかも7年間の長期にたわって滞留していたという興味ある症例を経験したので,その臨床像を記載するとともに若干の考察を加えて報告する。
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