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原著
外傷性唾液瘻の3症例
著者: 渡邊一夫1 川端五十鈴1 原田輝一23 村岡道徳3
所属機関: 1埼玉医科大学総合医療センター耳鼻咽喉科 2埼玉医科大学総合医療センター救命救急科 3大阪市立大学医学部形成外科学教室
ページ範囲:P.501 - P.504
文献購入ページに移動顔面外傷時に耳下腺,特に耳下腺ステノン管が損傷され,いわゆる唾液瘻,あるいは唾液嚢腫を生じることは少なく,日常臨床で耳下腺唾液瘻を経験することは少ないといわれている1,2〜6)。しかし,唾液瘻が一度発生すると,治療に抗して治癒しにくい場合がり,このようなステノン管の損傷に対しては,今までに多くの治療法が提唱されてきた1,3〜8)。これらの報告では,積極的治療としては,ステノン管形成術か耳下腺副交感神経切断術(Leriche氏手術)が中心のようである1〜8)。
われわれは最近,外傷によるステノン管の唾液瘻の3症例を経験した。そのうち2症例は保存的に治癒したが,残りの1例は保存的には治癒しなかったため,前腕の静脈の移植によりステノン管を形成し治癒せし得た。
今回,われわれの経験した唾液痩の3例の概要とともに,文献的考察を加えて報告する。
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