文献詳細
原著
内視鏡下鼻内手術後の抗生剤投与が原因と考えられるMRSA toxic shock syndromeの1例
著者: 高野篤1 高崎賢治1 田代哲也1 野田哲哉1 浜田久之2 江崎宏典2
所属機関: 1国立長崎中央病院耳鼻咽喉科 2国立長崎中央病院内科
ページ範囲:P.659 - P.662
文献概要
Toxic shock syndrome (TSS)は黄色ブドウ球菌の産生する外毒素toxic shock syndrometoxin-1(TSST-1)によって発症し,発熱,発疹,血圧低下などを主症状として多彩な全身症状をきたす症候群であり,1978年にToddら1)によって初めて報告された。鼻・副鼻腔手術に伴う合併症としては10万症例中16.5症例の発症頻度2)と少ないが,ショック状態に陥るため合併症の1つとして考慮していなければならない。一方,近年抗菌薬の乱用により,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症が問題となっている3)。消化器領域におけるMRSA腸炎もその1つで,この腸炎によりショック状態に陥った報告もある4)。
今回われわれは,内視鏡下鼻内手術(ESS)施行後にMRSA腸炎を合併し,TSSを発症した1症例を経験したので報告する。
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