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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科72巻11号

2000年10月発行

文献概要

鏡下咡語

「遅発性内リンパ水腫」を巡って思うこと

著者: 亀井民雄

所属機関:

ページ範囲:P.754 - P.756

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 遅発性内リンパ水腫(delayed endolymphatic hydrops:以下,DEH)は,既に広く世界的に認知された疾患概念とみてよいであろう。私は個人的には,DEHの概念はもっと拡張されるべきだと考え,そして特発性メニエール病の多くが,実際はDEHではないかと推測しているが(耳鼻臨床93巻),ここではこのことには触れない。ここで記したいと思うのは,DEHの概念の形成の個人史ともいうべきことどもである。各々の研究論文には,多かれ少なかれ文中には表れない喜怒哀楽の歴史があり,それが研究者の人生の内面を彩っていると思うのである。
 いうまでもなく,DEHはSchuknechtによって命名され,概念形成が行われた臨床的疾患単位である。1976年,このことに関する彼の最初の論文がArch Oto Rhino Laryngに発表されたとき,私は深い感動を覚えた。それは,私が長年考えあぐねた遅発性めまいの発現機転について,それまでに知られたメニエール病や内リンパ水腫の組織知見との関連において,見事な説明を提供するものであったからである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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