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雑誌目次

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科72巻13号

2000年12月発行

雑誌目次

目でみる耳鼻咽喉科

嗅神経芽細胞腫の1例

著者: 野中隆三郎 ,   東野正明 ,   兵佐和子 ,   李昊哲 ,   池田進 ,   田中斉 ,   竹中洋 ,   辻求

ページ範囲:P.870 - P.871

 嗅神経芽細胞腫は嗅上皮から発生する比較的稀な悪性腫瘍である1)。今回われわれは頭蓋内に進展した症例を経験したので報告する。
 症例は48歳女性。主訴は鼻閉,鼻出血。

Current Article

EBMに基づくめまい治療

著者: 武田憲昭

ページ範囲:P.873 - P.878

 はじめに
 耳鼻咽喉科の臨床においても,EBM(evidence-based medicine)に基づく質の高い医療が求められている。またその医療は,誰でもどこでも行える標準的な医療である必要がある。
 本稿では,めまいの治療におけるEBMについて,現在までに得られているevidenceを基に概説する。

原著

鼻性NK/T細胞リンパ腫の臨床的検討

著者: 坂東伸幸 ,   小林吉史 ,   荻野武 ,   高原幹 ,   野中聡 ,   原渕保明 ,   三代川斉之

ページ範囲:P.880 - P.886

 はじめに
 進行性鼻壊疽は鼻腔または咽頭領域に発生し,顔面正中部に沿って進行する破壊性,壊死性病変を主体とする予後不良な疾患の臨床的な呼称であった。しかし,その病因,病態が不明であったことから,悪性肉芽腫症,致死性正中肉芽腫症,悪性組織球症など多種多様な名称が使用されていた。1982年にIshiiら1)が腫瘍細胞の表面形質がT細胞型リンパ腫の特徴を有する6例を報告して以来,同様の報告が相次ぎ2,3),鼻性T細胞リンパ腫という名称が使われていた。最近になって腫瘍細胞がT細胞とNK細胞の両者の表面形質を有することが報告され4),鼻性NK/T細胞リンパ腫と呼ばれている5)。また病因的には,筆者ら6)が1990年に本疾患5例にEBウイルスDNAとEBウイルス発癌抗原が同定されたことを報告して以来,同様の報告が相次ぎ7,8),本疾患とEBウイルスとの関連性が注目されるようになった。
 元来,進行性鼻壊疽は臨床的に診断されており,病埋組織学的には診断が困難で,悪性リンパ腫と確定診断が得られなかった症例も少なくなかったと思われる。
 今回筆者らは当科開設以来,臨床的に進行性鼻壊疽と診断された12例について,免疫組織学的手法を用いて病理組織像の再評価を行い,鼻性NK/T細胞リンパ腫との異同を検討した。さらにEBウイルスとの関連性を検討したので報告する。

眼症状を呈した蝶形骨洞病変の3症例

著者: 村川哲也 ,   小坂道也 ,   森聡人 ,   溝渕光一

ページ範囲:P.888 - P.893

 はじめに
 蝶形骨洞病変の初発症状は,蝶形骨洞と眼窩や頭蓋内の隣接した解剖学的位置関係から視力や視野,眼球運動などの眼症状が多く,耳鼻咽喉科的疾患でありながら鼻症状はあまり多くない1)。そのため,眼科や脳神経外科など隣接臓器を取り扱う診療科からの紹介が多い疾患の1つである。眼症状の中でも特に,視力低下で発症した蝶形骨洞病変は,早急な診断治療を要する重要な副鼻腔疾患である。
 今回,われわれは眼球運動障害や視力障害をきたした蝶形骨洞病変の3症例に対して内視鏡的鼻内手術を施行し,良好な結果を得たので,若干の文献的考察を加えて報告する。

鼻中隔後端より発生した若年性鼻咽腔血管線維腫の1症例

著者: 長谷川武 ,   浅田貴彦 ,   川端五十鈴

ページ範囲:P.897 - P.900

 はじめに
 鼻咽腔血管線維腫は,一般に思春期の男性に好発し,鼻出血や鼻閉をもって発見されることが多い。組織学的には良性腫瘍であるが,拡張性増殖腫大と易出血性のため一般的に治療に苦慮する。Coenen1)やBrunner2)によると,発生部位は鼻咽腔の天蓋部に多いとされている。鼻咽腔以外に発生する血管線維腫は,われわれの調べ得た範囲では1973年以後自験例を含め31例であり,少数である3〜5)。しかし鼻腔,特に鼻中隔より発症した症例の報告もみられる6〜11)。今回われわれは,17歳の男性の鼻中隔後端から発生した血管線維腫の1例を経験したので,臨床所見,病理所見,治療法など若干の文献的考察を加えて報告する。

頭頸部における重症深部感染症の2症例

著者: 牛尾宗貴 ,   沖田渉 ,   佐々木徹 ,   渡海裕文 ,   梅本琢也 ,   布施孝久

ページ範囲:P.903 - P.908

 はじめに
 頭頸部深部の筋膜隙は互いに閉鎖しておらず,上方は頭蓋底に,下方は後部縦隔に連続している。このため,咽頭などの感染巣がこれらの筋膜隙に沿って膿瘍などを形成し,頭蓋底や縦隔へ進展することがある。
 今回われわれは,1)扁桃周囲膿瘍が深頸部,上縦隔へ進展して重篤な状態となった症例(下方進展例)と2)歯齪部の感染から側頭下窩膿瘍となった稀な症例(上方進展例)を経験したので報告する。

甲状腺未分化癌の1例—非伸展例の取り扱いについて

著者: 川上理郎 ,   東川雅彦 ,   服部康人 ,   橋本和明

ページ範囲:P.913 - P.917

 はじめに
 甲状腺未分化癌の予後は極めて悪く,全悪性腫瘍の中でも最悪とされている1)。腫瘍の発育が極めて速いため診断確定に手間取ると,初診時に手術可能と考えられた症例でも手術不能となることも多い。
 今回われわれは,生検後5日で手術を行い,術後に外照射,化学療法を追加し良好な経過をたどった例を経験したので報告する。

頸部捻転により生じた咽頭血腫の1例

著者: 望月幸子 ,   藤野明人 ,   小野雄一 ,   籾山安弘

ページ範囲:P.918 - P.921

 はじめに
 咽頭から副咽頭間隙にかけての血腫は,本邦では基礎疾患がある場合や明らかな外傷,または医原性により生じた報告は稀にある。しかし,頸部の捻転後に血腫が生じ呼吸困難をきたした症例報告は,検索し得た範囲では本症を含め2例目である1)
 今回われわれは,頸部捻転が原因と考えられる咽頭血腫で,緊急気管切開を施行した症例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する。

睡眠時無呼吸症候群にて判明した末端肥大症の1例

著者: 篠昭男 ,   森川敬之 ,   吉原俊雄 ,   石井哲夫 ,   鍋島みどり

ページ範囲:P.923 - P.927

 はじめに
 末端肥大症は成長ホルモン(GH)の分泌過剰が骨端線閉鎖以降に起こり,四肢,末端が肥大する疾患で,また舌や鼻咽喉頭粘膜の肥厚により二次的に睡眠時の無呼吸が合併することも多い1〜7)
 今回われわれは,睡眠時の無呼吸の症状により末端肥大症が明らかになり,下垂体腺腫摘出術が奏効した1例を経験したので,文献的検討を加え報告する。

迷路瘻孔症例の検討

著者: 松本宗一 ,   中村光士郎 ,   黒川浩伸 ,   菊池孝

ページ範囲:P.929 - P.933

 はじめに
 慢性中耳炎や真珠腫性中耳炎の手術ではしばしば迷路瘻孔を認めることがあり,その頻度は中耳炎手術症例の10%前後ともいわれ決して少なくない1)。しかし,その処置に関しては様々な意見があり1〜6),いまだ取り扱いについての結論は得られていないのが現状である。
 われわれは,術中に迷路瘻孔を確認できた9例につき,臨床症状,手術前後のめまいと聴力の推移に関して検討し,軟骨板を用いた迷路瘻孔の閉鎖方法が特にめまいに対して効果的と思われたので報告する。

鏡下咡語

我が青春の詩(うた)

著者: 調賢哉

ページ範囲:P.910 - P.912

 青春とは,心の若さである。青春とは人生のある期間ではなく,心のもち方を言う。薔薇の面差し,紅の唇,しなやかな手足ではなく,たくましい意志,豊かな想像力,もえる情熱をさす。青春とは人生の深い泉の清新さを言う。
 青春とは臆病さを退ける勇気,易きにつく気持を振り捨てる冒険心を意味する。

手術・手技

CO2レーザーによる鼓膜穿孔閉鎖術

著者: 下山高生

ページ範囲:P.935 - P.937

 はじめに
 鼓膜穿孔閉鎖術は穿孔縁を硝酸銀などの薬品で焼灼する方法,穿孔を筋膜や結合織で閉鎖し糊付けする方法1〜6)などがあるが,レーザーによる方法はまだあまり行われていない。
 本稿では,CO2レーザーによる方法を試みたので報告する。

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耳鼻咽喉科・頭頸部外科 第72巻 総目次

ページ範囲:P. - P.

人名索引

ページ範囲:P. - P.

基本情報

耳鼻咽喉科・頭頸部外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1316

印刷版ISSN 0914-3491

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