文献詳細
原著
犬吠えによる急性音響外傷の2症例
著者: 川端五十鈴1 並木聡子1 田口清隆2
所属機関: 1埼玉医科大学総合医療センター耳鼻咽喉科 2田口耳鼻咽喉科医院
ページ範囲:P.115 - P.118
文献概要
強大音の曝露が聴器に障害を及ぼして難聴を生じることはよく知られた事実である。音響曝露による急激に発症する難聴を詳しく検討すると,急性音響外傷,急性音響難聴と騒音性突発性難聴の3つに分類できる1)。第1の急性音響外傷は「予期しない突発的な強大音によって生じる急性の聴覚障害であり事故あるいは災害に相当するもの」と定義されている1)。そしてこの事故・災害をもたらす原因音についての症例を集計した研究があり2,3),日常の社会生活の中で原因音が身近に存在することが示唆されている。
今回われわれは,ペットの飼犬の吠え声によって生じたと考えられる急性音響外傷の2症例を経験したので,これらの臨床像を記載するとともに,文献を引用しながら2〜3の点について考察を加えて報告する。
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