文献詳細
原著
顎下腺原発と考えられたMALT lymphomaの1例
著者: 坪田大1 渡邉一正1 廣川満良2
所属機関: 1札幌医科大学耳鼻咽喉科学教室 2徳島大学医学部第1病理学教室
ページ範囲:P.205 - P.208
文献概要
悪性リンパ腫の組織分類は歴史的に様々な変遷を経ており,現在もなお流動的である。光学顕微鏡的,形態学的な分類のみならず,免疫組織化学,分子生物学的なアプローチにより,さらに新たな概念のリンパ腫の存在が提唱されている1)。
MALT lymphoma (mucosa-associated lymphoid tissue lymphoma)とは,正常リンパ濾胞マントル層のさらに外殻に位置する辺縁層細胞由来のリンパ球としての性質を有する悪性リンパ腫という概念である2)。
消化管,特に胃原発MALT Iymphomaに関する報告は少なくないが,唾液腺原発のものはそれらに比して少数であり3,4),治療に関してのまとまった検討は,筆者らの知る限りではほとんどなされていない。
今回われわれは,顎下腺に原発したと考えられるMALT lymphomaの症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する。
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