文献詳細
原著
舌に発生した“真性癌肉腫”の1症例
著者: 折田頼尚1 小河原利彰1 頼実哲1 山鳥一郎2 西崎和則3
所属機関: 1国立岡山病院耳鼻咽喉科 2国立岡山病院臨床検査科 3岡山大学医学部耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.219 - P.222
文献概要
癌肉腫は上皮性の癌腫と非上皮性の肉腫が同時に認められるものをいうが,特に真性癌肉腫についていえば,われわれの検索し得た範囲においては,和文,英文合わせてその報告は70に満たない。癌肉腫は主として60〜70歳台男性に多くみられ,発生部位としては頭頸部領域では喉頭,口腔,咽頭,食道の順に頻度が高いとされている1)。その組織発生,組成などについてはまだ種々の意見があるが,現在のところ“癌肉腫”は,①いわゆる癌肉腫,②偽肉腫,③真性癌肉腫の3種類に分けられており2),今回われわれはその中でも比較的稀とされる③の“真性癌肉腫”と思われる症例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する。
掲載誌情報