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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科72巻3号

2000年03月発行

連載 小児の耳鼻咽喉科・頭頸部外科シリーズ

⑦小児滲出性中耳炎の治療

著者: 安藤敬子1 田中克彦2

所属機関: 1市立旭川病院耳鼻咽喉科 2国立札幌病院臨床研究部

ページ範囲:P.229 - P.234

文献概要

 はじめに
 小児の中耳炎は,急性鼓膜炎,急性化膿性中耳炎,滲出性中耳炎,慢性化膿性中耳炎に大別されるが,滲出性中耳炎(otitis media with effusion:OME)を明確に定義することは意外に難しい。先の国際シンポジウムでの定義1)“滲出性中耳炎(OME)とは急性炎症の所見がなく,鼓室内に滲出液のある病態である”は現在広く支持を得ている妥当なものと思われる。
 滲出性中耳炎は小児に圧倒的に多い疾患である。難聴以外に自覚症状が乏しいうえに,患児が自ら難聴を訴えることは極めて少なく,気づかれずに経過することも多い。最近は3歳児検診などで疑われて専門医を紹介されたり,学校検診で発見されたりするが,本疾患に対する親の認識はいまだに十分でない。
 近年,その病態などに関して多くの知見が得られるようになったが,治療方針や治療方法には,今なお治療医の間でばらつきがある。治療面で一番問題となるのは,本疾患を短期間に治すことが極めて難しいこと,および再発の多いことなどである。インフオームドコンセントが不可欠の昨今,治療を始めるに当たっては,まず最初に本疾患についての十分な説明を行って,なぜこの疾患が短期間で治りにくいのか(長期の通院が必要か),および慢性副鼻腔炎やアデノイドなど周辺疾患の治療の重要性などを理解してもらう必要がある。
 われわれ耳鼻咽喉科医としては,それぞれの患児でこの疾患がどのような機序で起こっているかを見極めて,その子供には,どのような治療が最も効果的なのかを多角的に判断することが必要である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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