文献詳細
原著
前頭蓋底浸潤腫瘍に対する頭蓋底手術例の検討
著者: 石田春彦1 天津睦郎1 長嶋達也2 田原真也3
所属機関: 1神戸大学医学部耳鼻咽喉科学教室 2神戸大学医学部脳神経外科学教室 3神戸大学医学部形成外科学教室
ページ範囲:P.277 - P.281
文献概要
鼻・副鼻腔は前方では前頭蓋底に,後方では中頭蓋底に接しているため,同部に発生した腫瘍が頭蓋底組織を破壊して,頭蓋内へ進展することがある。このような症例は,以前は手術適応とはならず姑息的治療を行っていた。頭蓋底に浸潤した副鼻腔腫瘍に対する手術は,Smithら1)の報告が最初である。その後抗生物質や再建手技の進歩などにより,最近では頭蓋内外の腫瘍を一塊として摘出する頭蓋底手術が定着し,多くの施設で行われるようになった。このことは患者の生命予後に大きく寄与するものと思われる。
われわれは1987年に篩骨洞髄膜腫症例に対して,頭蓋内外からアプローチを行い頭蓋内腫瘍と篩骨洞腫瘍を一期的に摘出したのを最初として,これまでに8例に前頭蓋底の合併切除を行ったので,その結果を報告する。
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