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文献概要
特集 全身疾患と耳鼻咽喉科 Ⅳ.血液疾患
2.血小板減少と耳鼻咽喉科
著者: 福田竜基1 島倉康仁1 堀田知光1
所属機関: 1東海大学医学部血液リウマチ内科
ページ範囲:P.134 - P.139
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鼻や喉頭の大部分は脆弱な粘膜で構成されている。外部からの外傷にさらされやすいため,これら部位からの出血は日常診療で遭遇する機会が多い。患者によっては,外傷はあくまでも出血の誘因で,背景に血液疾患など全身性疾患が潜んでいる場合もある。
出血傾向が血液疾患の場合,原因は一般的に血管系および血小板と凝固線溶系因子の異常に大別される。耳鼻科領域の出血は体表面の出血に相当すること,深部出血など凝固因子異常によるものは遺伝性素因があり,家族歴や出血の既往により患者が病識を有することが多いため,実際に耳鼻咽喉科医が遭遇し診断や治療に苦慮するケースは血管系と血小板減少に起因する例が多く,さらに疾患の頻度を考慮すると血小板減少によるものが圧倒的に多い。したがって本稿は,特に血小板減少による止血異常を主体にし,1)生体内における血小板による止血のメカニズム,2)血小板減少時の病態,3)鑑別診断,4)主要疾患,5)血小板減少時の手術について述べる。
鼻や喉頭の大部分は脆弱な粘膜で構成されている。外部からの外傷にさらされやすいため,これら部位からの出血は日常診療で遭遇する機会が多い。患者によっては,外傷はあくまでも出血の誘因で,背景に血液疾患など全身性疾患が潜んでいる場合もある。
出血傾向が血液疾患の場合,原因は一般的に血管系および血小板と凝固線溶系因子の異常に大別される。耳鼻科領域の出血は体表面の出血に相当すること,深部出血など凝固因子異常によるものは遺伝性素因があり,家族歴や出血の既往により患者が病識を有することが多いため,実際に耳鼻咽喉科医が遭遇し診断や治療に苦慮するケースは血管系と血小板減少に起因する例が多く,さらに疾患の頻度を考慮すると血小板減少によるものが圧倒的に多い。したがって本稿は,特に血小板減少による止血異常を主体にし,1)生体内における血小板による止血のメカニズム,2)血小板減少時の病態,3)鑑別診断,4)主要疾患,5)血小板減少時の手術について述べる。
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