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特集 全身疾患と耳鼻咽喉科 Ⅶ.アレルギー・膠原病
1.薬物アレルギーと耳鼻咽喉科
著者: 毛利学1 毛利大介1 青木秀哲1 城山明宏1
所属機関: 1大阪歯科大学耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.167 - P.170
文献購入ページに移動薬剤を投与したとき,薬理作用以外の作用が現れることがあり,これを薬剤の副作用という。薬剤の副作用は,臨床的視点から薬理学的副作用と薬物アレルギーの2つに大別される。
薬理学的副作用は,薬剤の本来の薬理作用によるものなので予測可能な反応であり,常用量を守る限り副作用の頻度は少ない。薬物アレルギーは,薬剤あるいはその代謝産物に対する特異抗体,あるいは特異的リンパ球との免疫反応によって,薬剤の薬理作用とは質的に異なる反応である1)。これらの反応によって臓器組織障害をきたすが,その中でも皮膚,粘膜が障害されることが多く,それぞれ皮疹・粘膜疹(薬疹)として種々の臨床像を示す。
耳鼻咽喉科臨床では,各種の抗生物質,非ステロイド系消炎鎮痛剤,抗ヒスタミン剤,消炎酵素剤,抗めまい剤,止血剤,精神安定剤などが頻用されるが,これらの薬剤はいずれも薬物アレルギー(薬疹)の好発薬剤である。
薬疹は耳鼻咽喉科医にとって不可避的に遭遇する症状・疾患なので,どのような所見が重要で,どのような所見が重症化するかを見極めることが大切である。以下,われわれが経験した薬疹の臨床像を呈示し,日常臨床での対応について述べる。
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