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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科72巻5号

2000年04月発行

文献概要

特集 全身疾患と耳鼻咽喉科 Ⅶ.アレルギー・膠原病

3.シェーグレン症候群と耳鼻咽喉科

著者: 沼田勉1 今野昭義1 寺田修久1

所属機関: 1千葉大学医学部耳鼻咽喉科学教室

ページ範囲:P.174 - P.179

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 はじめに
 Sjögren症候群は,外分泌腺を系統的に侵す慢性の臓器特異的自己免疫疾患である。典型的な症例では口内乾燥症,乾燥性角結膜炎,リウマチ性関節炎を3大主徴とするが,典型的な臨床症状はなくても他覚的検査によって本症と診断できる症例も少なくない。主病変は唾液腺,涙腺にあるが,鼻腺,喉頭・気管分泌腺,胃腺,腟腺などの分泌障害による諸症状をみることもある。合併症としてはリウマチ性関節炎のほかに汎発性紅斑性狼瘡(SLE),強皮症,多発性筋炎,橋本病,高グロブリン血性紫斑病,マクログロブリン血症などの膠原病がみられ,Sjögren症候群は病変が外分泌腺に限局する群(乾燥症候単独群)と外分泌腺病変に膠原病を合併する群(膠原病重複群)に分類される。また,乾燥症候単独群は一次性Sjögren症候群,膠原病重複群は二次性Sjögren症候群とも分類される。耳鼻咽喉科を口内乾燥感または反復性耳下腺腫脹を主訴として受診するSjögren症候群症例の多くは乾燥症候単独群に属するが,白血球減少,レイノー現象,発熱,関節痛,腎症状,腎尿細管アシドーシス,皮膚紅斑などの多彩な全身性病変を合併する症例も稀ではない。
 本症は中年女性にみられることが多く,男性症例は稀である。しかし,反復性耳下腺腫脹を伴う症例において,耳下腺腫脹の初発年齢をみると10代後半から20代にかけて初発する症例もある(表1)。これらの症例においても,本症の特微である口内乾燥感を自覚するに至るのは35歳以降であり,Sjögren症候群の典型的な症状が出揃うまでには長期の経過を取るものが多い。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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