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小児反復性上気道感染症における免疫異常とワクチン療法開発の可能性
著者: 原渕保明1
所属機関: 1旭川医科大学耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.321 - P.331
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小児の上気道感染症,特に中耳炎と扁桃炎は耳鼻咽喉科臨床において最も頻繁に遭遇する疾患である。ちなみに中耳炎は生後1歳までに60%が少なくとも1回は罹患するといわれている。さらに生後1歳までに17%が,3歳までに46%の小児が中耳炎を3回以上繰り返すことが報告されている1)。扁桃炎についても数多くの幼小児が反復することが周知である。したがって,これらの反復性上気道感染症に対する予防的ワクチン療法の開発が,われわれ耳鼻咽喉科医にとっても急務と思われる。
ワクチン療法の開発にはまず,1)中耳炎や扁桃炎の起炎菌として頻繁に検出される菌種,菌株がどのようなものかを検討し,2)標的とする菌抗原の中で最も効果的なワクチン抗原を選択する必要がある。その後,3)選択されたワクチン抗原に対して生体がどのように免疫応答しているかを解析し,4)動物モデルで十分検討し,良好な結果が得られた後に初めてヒトに臨床応用可能となる。
本稿では,これまで筆者らが行ってきた成績を基に中耳炎や扁桃炎に対するワクチン療法開発の展望について概説する。
小児の上気道感染症,特に中耳炎と扁桃炎は耳鼻咽喉科臨床において最も頻繁に遭遇する疾患である。ちなみに中耳炎は生後1歳までに60%が少なくとも1回は罹患するといわれている。さらに生後1歳までに17%が,3歳までに46%の小児が中耳炎を3回以上繰り返すことが報告されている1)。扁桃炎についても数多くの幼小児が反復することが周知である。したがって,これらの反復性上気道感染症に対する予防的ワクチン療法の開発が,われわれ耳鼻咽喉科医にとっても急務と思われる。
ワクチン療法の開発にはまず,1)中耳炎や扁桃炎の起炎菌として頻繁に検出される菌種,菌株がどのようなものかを検討し,2)標的とする菌抗原の中で最も効果的なワクチン抗原を選択する必要がある。その後,3)選択されたワクチン抗原に対して生体がどのように免疫応答しているかを解析し,4)動物モデルで十分検討し,良好な結果が得られた後に初めてヒトに臨床応用可能となる。
本稿では,これまで筆者らが行ってきた成績を基に中耳炎や扁桃炎に対するワクチン療法開発の展望について概説する。
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