文献詳細
目でみる耳鼻咽喉科
文献概要
中耳腺腫は,本邦では3例の報告しかない稀な腫瘍である。今回,粘液型細胞と神経内分泌型細胞の混在した中耳腺腫例を経験したので報告する。
症例は,58歳男性。2年来の左耳鳴(サーサー)と2週前からの左難聴にて平成9年8月25日,当科を紹介され受診した。初診時左鼓膜は混濁し,後上部の膨隆を認めた(図1)。純音聴力検査で,左耳は平均47dBの混合難聴を示した。CTでは下鼓室から乳突蜂巣にかけてび漫性の陰影があり(図2),MRIで下鼓室から乳突洞口にかけて,Gd-DTPAで著明に増強されるT1強調像で中信号,T2強調像で低信号の腫瘤陰影を認めた(図3)。鼓膜後上部からの生検で腺管構造を呈し,内腔にPAS陽性粘液のみられる腫瘍細胞を認め,中耳腺腫の病理診断を得た。腫瘍細胞に対する免疫染色で,ケラチン・EMA・PAS (図4a)・ビメンチン・NSE・クロモグラニンA (図4b)のいずれも陽性であった。平成9年10月17日,鼓室形成術Ⅲ型変法に準じ腫瘍摘出術を施行した。腫瘍は,下鼓室〜中鼓室に充満し上鼓室の一部まで拡がり,鼓膜裏面と部分的に固く癒着していた。腫瘍より末梢はコレステリン肉芽腫であった。外耳道後壁を保存し,ツチ骨頭,キヌタ骨を除去して腫瘍を摘出した。術後2年の平均聴力は30dBであり,再発を認めていない。
症例は,58歳男性。2年来の左耳鳴(サーサー)と2週前からの左難聴にて平成9年8月25日,当科を紹介され受診した。初診時左鼓膜は混濁し,後上部の膨隆を認めた(図1)。純音聴力検査で,左耳は平均47dBの混合難聴を示した。CTでは下鼓室から乳突蜂巣にかけてび漫性の陰影があり(図2),MRIで下鼓室から乳突洞口にかけて,Gd-DTPAで著明に増強されるT1強調像で中信号,T2強調像で低信号の腫瘤陰影を認めた(図3)。鼓膜後上部からの生検で腺管構造を呈し,内腔にPAS陽性粘液のみられる腫瘍細胞を認め,中耳腺腫の病理診断を得た。腫瘍細胞に対する免疫染色で,ケラチン・EMA・PAS (図4a)・ビメンチン・NSE・クロモグラニンA (図4b)のいずれも陽性であった。平成9年10月17日,鼓室形成術Ⅲ型変法に準じ腫瘍摘出術を施行した。腫瘍は,下鼓室〜中鼓室に充満し上鼓室の一部まで拡がり,鼓膜裏面と部分的に固く癒着していた。腫瘍より末梢はコレステリン肉芽腫であった。外耳道後壁を保存し,ツチ骨頭,キヌタ骨を除去して腫瘍を摘出した。術後2年の平均聴力は30dBであり,再発を認めていない。
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