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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科72巻9号

2000年08月発行

Current Article

先天性外耳道閉鎖症の基礎と臨床

著者: 西﨑和則1 増田游1 武田靖志1

所属機関: 1岡山大学医学部耳鼻咽喉科学教室

ページ範囲:P.561 - P.569

文献概要

 はじめに
 中耳・外耳の伝音系の聴器奇形は,その複雑な発生過程から多彩な表現型を示す。聴器奇形の発生機序の解明および奇形病態の観察のため,従来より催奇形物質による動物実験が行われてきた1,2)。ビタミンA誘導体,特に最近ではレチノインク酸を母獣に投与して,その胎仔に耳介奇形や外耳道閉鎖症などの外表奇形を生じさせた報告が多い3)。近年,プログラム細胞死が器官形成において重要な役割を果たしていることが理解され,口蓋形成期におけるプログラム細胞死の障害で口蓋裂が起こる可能性が指摘されている4)。われわれも聴器の発生におけるプログラム細胞死を観察してきた5,6)。この中で,特に外耳道の器官形成にプログラム細胞死がどのように関与しているかを明らかにした7)。また,分子生物学的手法を用いて聴器奇形の責任遺伝子の解析が広く行われているが,本稿では,この分野での最新の知見を紹介する。
 先天性外耳道閉鎖症を中心とした聴器奇形に対する聴力改善術は,奇形耳の複雑な病態のため耳科手術の中でも最も困難な手術の1つで,術後の合併症も解決されていない問題を含んでいる8,9)。外耳道閉鎖症の診断と治療の問題点にも言及し,また当科における治療成績10)とナビゲーションシステムの有用性11)についても言及する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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