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原著
全身性のpseudolymphomaを呈したMikulicz病の1例
著者: 渡辺健太1 沢田哲治2 山本一彦2 前田陽一郎1 吉橋理恵1 山岨達也1
所属機関: 1東京大学医学部耳鼻咽喉科学教室 2東京大学医学部アレルギー・リウマチ内科学教室
ページ範囲:P.581 - P.586
文献購入ページに移動19世紀末にMikuliczは両側の涙腺,唾液腺の無痛性,対称性腫脹をきたした1症例をMikulicz病として報告した1)。その後,Mikulicz病に関しては様々な議論がなされているが,現在ではSjö-gren症候群の一亜型とする考えが主流である2)。しかし,Mikulicz病とSjögren症候群は異なる臨床像を示すことから,未だにこの分類は議論となるところである3)。一方,Sjögren症候群は自己免疫疾患であるとともに,リンパ増殖性疾患として位置づけられ,悪性リンパ腫などを高率に合併することが知られている4)。
今回,われわれは両側の顎下腺,涙腺の著明な腫脹を示し,全身検索の結果,いわゆるpseudo-lymphomaの像を呈したMikulicz病の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する。
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