文献詳細
原著
難聴を主訴とした内耳道狭窄症例の2症例
著者: 田部浩生1 川端五十鈴1 長田久人2
所属機関: 1埼玉医科大学総合医療センター耳鼻咽喉科 2埼玉医科大学総合医療センター放射線科
ページ範囲:P.589 - P.593
文献概要
内耳道拡大症例の報告はしばしば行われているが,内耳道狭窄症例の報告は少なく,したがって狭窄の原因や病態に対して十分な検討が行われていないのが現状である。また,狭窄症例にみられる臨床症状,例えば顔面神経麻痺,感音難聴,前庭障害などの報告がみられるが,狭窄と臨床症状との関連について十分な検討が行われていないようである。
われわれは最近,内耳道狭窄症例で同側に高度の難聴があるが顔面神経麻痺のみられない2症例に遭遇した。MR cisternography1,2)による内耳道画像診断を施行したところ,顔面神経の走行はみられるが,蝸牛神経と前庭神経は高度に萎縮している所見がみられたので,症例経過と画像診断所見を呈示し,若干の考察を加えて報告する。
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