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文献概要
原著
ふらつきを主訴に来院したFisher症候群の3例
著者: 松田太志1 森部一穂2 花井信広2 渡邊暢浩1 村上信五1
所属機関: 1名古屋市立大学医学部耳鼻咽喉科学教室 2一宮市民病院耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.595 - P.599
文献購入ページに移動Fisher症候群は,1956年にMiller-Fisherが報告し,急性の外眼筋麻痺,小脳性運動障害,腱反射消失を3主徴とする一過性の予後良好な疾患である1)。本症候群は,上気道炎や胃腸炎の1〜3週後に複視,歩行時のふらつきで発症し,多くは1〜2週をピークにその後徐々に回復する。純粋に3主徴のみ呈することは少なく,先行感染の病原体を認めること,軽度の筋力低下や感覚障害を伴う例が多いこと,Guillain-Barré症候群(以下,GBSと略)の診断基準を満たす例が1/3を占めること,電気生理学的に末梢障害を認めることからGBSの亜型とも考えられている2)。一般に上記の3主徴を呈することは少なく,脳幹梗塞と誤診されることも少なくない。
今回筆者らは,臨床所見および諸検査よりFi-sher症候群と診断された3症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する。
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