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トピックス 心身医学と耳鼻咽喉科
6.心因性発声障害
著者: 田山二朗1
所属機関: 1東京大学医学部耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.841 - P.844
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1.概念と分類
音声は情緒的情報も伝えうる音響信号であるため,発声過程において精神状態が様々な程度で反映される。精神が緊張した状況におかれると,声が震えたり,嗄れたり,出しづらくなることは誰しもが経験する。心因的要因で発声障害が生ずることは理解しやすい病態であり,その極端なものはヒステリー性失声症として古くから知られている。
一般に器質的異常に基づかない発声障害を機能性発声障害と呼ぶが,これには精神的外傷や心理的葛藤などの関与が考えられるものも含まれている。これを心因性発声障害としている。つまり,声の乱用や不適切な発声の結果引き起こされる狭義の機能性発声障害と,心因性の発声障害とに区分されるわけである。しかし,実際には発声障害が心因に基づいたものであるか否かを鑑別することが困難な場合もある。例えば,心因によって引き起こされた発声障害が,心因が解消された時期にも存続し,機能障害として固定してしまうこともありうる。一方で,基本的には発声習慣や発声の仕方に問題があり生じたものではあるが,同時に心因的要素が重なっていることもある。
1.概念と分類
音声は情緒的情報も伝えうる音響信号であるため,発声過程において精神状態が様々な程度で反映される。精神が緊張した状況におかれると,声が震えたり,嗄れたり,出しづらくなることは誰しもが経験する。心因的要因で発声障害が生ずることは理解しやすい病態であり,その極端なものはヒステリー性失声症として古くから知られている。
一般に器質的異常に基づかない発声障害を機能性発声障害と呼ぶが,これには精神的外傷や心理的葛藤などの関与が考えられるものも含まれている。これを心因性発声障害としている。つまり,声の乱用や不適切な発声の結果引き起こされる狭義の機能性発声障害と,心因性の発声障害とに区分されるわけである。しかし,実際には発声障害が心因に基づいたものであるか否かを鑑別することが困難な場合もある。例えば,心因によって引き起こされた発声障害が,心因が解消された時期にも存続し,機能障害として固定してしまうこともありうる。一方で,基本的には発声習慣や発声の仕方に問題があり生じたものではあるが,同時に心因的要素が重なっていることもある。
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