文献詳細
連載 手術・手技シリーズ
文献概要
はじめに
外傷性鼓膜穿孔の90%は自然閉鎖し,しかもその多くは受傷後1か月以内に閉鎖することがユニバーサルな認識である1)。本邦における臨床例の検討2)でも同様な結果が報告されているので,大部分の新鮮例には「感染予防」を第一義とした経過観察(watch and wait)が行われるのが現状であろう。しかし,ルーチンに鼓膜の顕微鏡観察が行われるようになった今日,自然閉鎖しない約10%をいかに低侵襲な方法で早期の閉鎖に導くかが,耳科医の技術に託された課題といえる。
耳小骨損傷,外リンパ瘻,顔面神経麻痺,側頭骨骨折などを合併する例では,それらに対するアプローチが優先されるので,本稿では単純穿孔例に絞って閉鎖法の現状について解説する。
外傷性鼓膜穿孔の90%は自然閉鎖し,しかもその多くは受傷後1か月以内に閉鎖することがユニバーサルな認識である1)。本邦における臨床例の検討2)でも同様な結果が報告されているので,大部分の新鮮例には「感染予防」を第一義とした経過観察(watch and wait)が行われるのが現状であろう。しかし,ルーチンに鼓膜の顕微鏡観察が行われるようになった今日,自然閉鎖しない約10%をいかに低侵襲な方法で早期の閉鎖に導くかが,耳科医の技術に託された課題といえる。
耳小骨損傷,外リンパ瘻,顔面神経麻痺,側頭骨骨折などを合併する例では,それらに対するアプローチが優先されるので,本稿では単純穿孔例に絞って閉鎖法の現状について解説する。
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