文献詳細
目でみる耳鼻咽喉科
レーザーによる結核性後鼻孔閉鎖の治療
著者: 小川益1 生井明浩1 池田稔1 山内由紀1 木田亮紀1
所属機関: 1日本大学医学部耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.178 - P.179
文献概要
症例は57歳女性。上咽頭結核と診断後,抗結核剤(EB,INH,RFP)の内服治療を施行した。治療中に軟口蓋が咽頭後壁と癒着し,後鼻孔閉塞をきたした(図1〜3)。抗結核剤の治療完了後,レーザーにより閉塞部位の開大術を行った(図4〜7)。治療前には滲出性中耳炎も認められたが,術後治癒した。咽頭の閉鎖部位に対して鉗子操作による治療では,術中の出血が多い。また,それに対して電気凝固などを併用した場合は,術後の瘢痕再狭窄などをきたす可能性が大きい。また,耳管咽頭口周辺への影響が心配される。これに比して,今回使用したNd:YAGレーザー治療は手術時の出血が少なく,十分な術野の明瞭な確保ができた。さらに術後の過剰な肉芽形成,瘢痕再狭窄をきたさず有用であった。また術後,滲出性中耳炎をきたすような耳管機能障害は認められなかった。1年後の内視鏡所見でも再発を認めなかった。
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